こんとらすとえんかうんと

 3年目、ヴィトンこと役者の南です。長ったらしい文章を書くことが得意なので、よければ読んでやってください。とはいえ、発信されるものなので、密かにちょこちょこ書き直したりするわけですけれど、花粉に頃され、暑さに弱いのも相まって、推敲なんてできたもんじゃないです、まったく。

 本公演を観る前の唯一の手がかりである、何千文字後ろに出てくるかはわからないけれど、あらすじには「思い込み」という言葉が三回も使われています。これについて書こうと思ったわけなんですけれど、あれよあれよと懐かしいことを思い出しました。
 僕は、何事に対しても一つより多い要素を見つけようとする癖があります。変な書き方になりましたが、「固定観念をもたない」「決めつけない」といった、否定文ではないことを言いたいがためにこうなりました。この癖は、こうした方が面白いと感じてから自然とついていきました。感じたキッカケは忘れてしまいましたが、その元となるキッカケは覚えています。
 
 キッカケの前に。この癖がついてから少し経ち、その頃は高校生でした。部活は合唱部。入部理由は中学の先生に入れと言われたこと。三年間、男子は僕一人だったので、男声の練習はできずに裏声を歌い続けて、気づかぬうちに出ていた高音が出なくなっていました。部に入っていろいろ楽しかったものですが、出ていた裏声がどうやっても出ないと気づいた時の喪失感は忘れられません。女性よりも男性の方が簡単に喉を壊してしまうと知ったのはつい最近です。
 それはそれは悲しかったわけですが、僕は野心家だったので、その反面、高音を使わずにカッコいい歌が歌えたら楽しいだろうなあ、と思っていろいろ試行錯誤していました。家のお風呂で。のちに両親から「歌うまくなったよね」と言われたのは、ちょっと恥ずかしいけれど、いい思い出。
 いろんな人の歌を聴くようになって、僕は「全部歌えたら、なまらカッコいい」ことに気づきました。嫌いなものがない性格で、せっかく色んな音楽が好きなんだから、色んな歌い方ができたらそれだけで楽しそうだし、かっこいいじゃあないか、とワキワキしたものです。そこからは、固定した歌い方を、癖をつけないようにする癖をつけ、色んな人の歌い方を真似していきました。この感覚は、今の僕の癖を補強するものになっています。
 嫌いなものがない。この性格は、まあ生まれついたものもありそうですけれど、やはりあの出会いで変化したと思います。

 その出会いの少し前の小学生。僕は、ここで述べることがないほど楽しくほのぼのした生活をしていました。やんちゃもしました。その中で、イジメに加担したこともありました。イラストを書くのが好きな女子が数名いて、言葉で以って女子を傷つけてしまっていました。目的は攻撃ではないので、ケロッとしてまた違うことをして友人と遊ぶ僕。そんな中、ある友人に勧められたMAD動画を見ました。Youtubeやニコニコがサービスを開始して間もない頃、ニコニコでは音MADが流行っていました。そうして色々な動画を探す中で、もう一つのコンテンツであったVOCALOIDに出会いました。本当に気軽に、今Twitterでいいねをするくらい気軽な気持ちで見たからでしょうか、初めて心の底から感動し、涙したのです。どの曲か気になった方は劇場に直接聞きに来てください。あまりの衝撃に、価値観が変わったことに気づくのには時間がかかりました。気付くまでは、無意識にイジメている光景が嫌で避けたり、彼女たちにもたまに話しかけたり。気づいてからは、僕の感動したものを好きだった彼女たちに申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、それ以上に集団心理が怖く嫌いになりました。誰かが言った評価を鵜呑みにしたくないと強く思いました。僕の世界を広げてくれたのは、彼女たちと言っても過言ではないでしょう。
 
 自分語りをしなければ、伝えたいことも伝えられないのは恥ずかしい限りですが、この出会いが癖がついた最大の原因です。僕は、色んな見方をすることで、意外なところに面白いことが見つけられる、と思っています。実際に、たくさんの面白いことを知れたので、これからも色んな見方をしていきたいと思っています。

 モノの見方というのは、皆さまは僕と同じかそれ以上に生きているわけで、それはそれはたくさんあると思います。きっと僕と同じかそれ以上に、その見方を身につけた経験もあると思います。「思い込み」という言葉から考えるとすれば、【らすとらべる】は、そういう何かに対する意識が一つのテーマのような気もします。
 
皆さまは、【らすとらべる】をどう見てくださるのか、僕はそれが楽しみでなりません。僕の知らない見方に出会えたら、また面白いものに出会えるわけですから。



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脚本・演出 金澤龍汰郎

□あらすじ

これは遠くない、一つの未来。
人類滅亡の知らせによって暴動が起きた世界。

終末の街で人々は何かを抱えて生きていた。

思いは人を動かす。
じゃあ思い込みは?
人に貼られた、自分で貼った思い込み。
これは最期の思い込み。

□日時
6月8日(土) 11:00/15:00/19:00
  9日(日) 11:00

*開場は開演30分前

□料金
前売300円/当日500円

□場所
北海道大学 高等教育推進機構1F 大講堂

□出演
阪井賢
波佐谷はるか
北澤凜
佐藤優名
南亮哉
岩本匠平
深沼吏功
堀井陽依
長谷川健太

◆お問い合わせ
電話 080-6930-8662(制作)
メール shiro_chan95@hotmail.com

後援 札幌市・札幌市教育委員会

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