床から数センチ
こんにちは
突然ですが私、中学生の時バレーボール部だったんです。
ポジションは大体リベロ、レシーブをいっぱいする役回りでした。
全然上手ではなかったんですけど。
まあそんな話はどうでもよくて。
皆さんは手の甲であげるレシーブを見たことがありますか。
落ちてくるボールが床につく寸前、床とボールの間の僅かな隙間に手を伸ばして
手の甲でボールを真上に弾くんです。
自分でできたことは一回もないんですけど。
稽古終わりの地下鉄で
ふとバレー部の時のことを考えていたら
自分のプレーよりも何よりもまず、誰かが見せてくれた上手なレシーブを思い出しました。
試合中
相手の放ったボールが
守備範囲を大きく外れて飛んでいく。
やめてよ、そっちは誰もいない
誰も追いつけない
足が動いてない
走ってもこれは、だめかな。
流石にな
「 」
次の瞬間
ボールは既に宙へ上がっている
高く高く、柔らかく。
ボールが床から数センチあれば
レシーブは十分間に合うよ
上手な人が言っていました。当時はすごいなあとしか思わなかったけど、今バレーボールとは全然違う場面でこの言葉を思い出しています。
もうだめかも
これ以上進める気がしない
ていうか間に合わなくないか
そう思っても
諦めるなよ
なんなら始まってもいないよ
笑っちゃう。
最後の瞬間まで何が起こるかわからない
自分が小さくてのろまなのは
今に始まったことじゃない
それでも持ってるもの全部使って
行けるところまで行こうや。
まだ。もっと。もっと。
床から数センチ
まだボールは落ちてない。
役者 2年目 都のなみへい