もし、もし
中学に入った時、奇術部に入りました。奇術というのはいわゆるマジックです。トランプとかコインとか。入学してすぐの時、勧誘していた部員の人のカードマジックを初めてみた時、目の前の衝撃で心を掴まれました。そのままその日に入部することを決めて、マジックを覚え始めました。
そこから、かなり真面目にマジックを練習しました。実はマジックはかなり奥が深くて、トランプの持ち方一つでも練度の差が如実に現れます。勉強から逃げたくて、マジックが楽しくてひたすらDVDとか本を読んで練習していました。2年も経つとかなり上達していて、まあ初心者にしてはできる方になっていました。
奇術部は毎年4月の文化祭に向けて1年間練習していきます。色々なルーティンを考えたり、技を習得したり。文化祭が華であるわけです。さらに、高校生になると自分がやるマジックの持ち時間が伸びるんです。10〜15分くらい。これがものすごく憧れでした。トランプだけでなく別の種類の道具を使い、巧みな話術と技術で驚かせる先輩がカッコよくて仕方なくて。高校一年生になった文化祭のためにいろんな練習をしていました。毎日部活で練習して。家でもトランプいじって。ずっと練習してました。当時中学3年生の僕はマジックに夢中だったわけです。
でも、文化祭は中止でした。
今でもよく覚えています。2020年3月29日のお昼過ぎ。当時の部長から文化祭の中止の報告と謝罪のメールが送られてきました。そりゃ当たり前ですよ。1ヶ月も学校に行けないのに。毎日のように感染者数が増加しているのに。4月に文化祭なんてできるわけがありませんでした。
なんども読み返しました。なんで謝られているだろう。なんで元気なのにやれないのだろう。なんでこんな状況になっているのだろう。そこから2日くらい部屋に閉じこもってマジックの練習をしました。でも、もうやりたくなくなってしまいました。
そこで僕はマジックへの熱が冷めてしまいました。次の年の文化祭では人前でやることはできたものの、従来のような時間ではできず短縮された時間で披露をしました。奇術部は、高2の最後の文化祭をもって卒業となります。僕が憧れていたことは、ついにできずに終わってしまったわけです。
今までで一番の後悔はなんですかと聞かれたら、多分この経験だと思います。大学生になって、誰かの高校時代に頑張っていたことや経験などを聞くたびに心のどこかで自分にはできなかったという悔しさと羨ましさを感じます。劣等感を感じます。何をどうしたってもう戻ってこないんですけど。何回あの時に文化祭ができたらと思ったことか。
僕がしろちゃんに行き続ける理由は、この経験からだと思います。あの時、僕がやりたかったことからはかなり形は変わったけれど、いまの現状にはとても満足しています。コロナがなければ僕は映画をたくさん観ることもなかったし、しろちゃんに入ることもなかったと思います。全ては何かの糧になっていて、あの時の挫折も今となってはいまの自分のきっかけとなったわけです。しろちゃんはすごく楽しいです。入ってよかったなって心から思います。
でも、やりたかったな。やれたらよかったな。
5年前の文化祭。それを今でもずっと引きずり続けています。それがいやだから、あの時の経験があったからこそこんないいサークルが待っていたんだと言いたいのです。だから僕はしろちゃんに行き続けるわけです。
あの頃の僕に、胸張って「大丈夫だよ」って言えるように。羨ましがってもらえるように。もう後悔しないように。僕は今日も活動に行こうと思います。
小道具トップ 3年目 油淋鶏
劇団しろちゃん2025学祭公演「サマーウィル」
大学生になったかつての小さな空想家たちは再集結を果たす。しかしそこで再会した友人達は、昔のままの彼らではなくなっていた。寂しさを抱えた彼と友人達は、子どもの頃の自分たちが空想したストーリーの世界である、恐竜の世界に迷い込んでしまう。
そこでふと、彼は違和感を覚える。世界設定や登場人物が何もかも変わってしまっているのだ。
もとに戻したい彼は恐竜の世界を奔走する。変わっていく彼らの、僕らの、ひと夏の冒険譚。
【ご予約💻】
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◎団員からの宣伝の場合
ネット予約の来場チケットは備考欄に、配信チケットはチケット購入時のアンケートに団員の名前をご記入ください。
【公演日時】
6/7(土) 11:00 / 15:00 / 19:00
6/8(日) 11:00
(開場は開演の30分前となります。)
【チケット料金】
■予約 500円
■当日 500円
■アーカイブ配信 400円
配信チケットご購入/アーカイブ映像ご視聴には、「teket」の会員登録(無料)が必要となります。
【公演場所】
北海道大学 構内 北17条西8丁目
高等教育推進機構 1F Sky HALL(大講堂)
【出演】
近納生吹
星野功平
久保詩葉
中瀬月那
北川翔一
山口諒士
佐藤姫
【脚本・演出】
脚本演出:中西由梨音
助演出:梁知生
【スタッフ】
制作:大渕里緒
舞台:井澤陽菜
場内:臼井友希
衣装:大矢智貴
小道具:赤井煌人
音響:宮前円香
照明:大木海英
当日宣伝:渡辺康太
宣伝美術:佐藤那奈
舞台監督:及川優奈
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