演劇なんかに出会ったから

物書きという単語を知る前から、僕は物書きを目指していた。その証拠に僕の幼稚園の卒業アルバムには「将来の夢 絵本」と書かれている。

4年前の僕へ。
流石にいつかその夢は諦めると信じて、普通の国公立大学に行くことを決めた僕へ。

申し訳ないけど、諦めてたまるか、って大学4年の冬に未だガキみたいなこと言ってます。てか何なら休学までしてます。休学して、でも就活はやはりせず、何回目か分からん助演出をまたやっています。

——北大に来るべきではなかった。
脚本とか映画とかを専門的に学べる私立大学に行けば良かった。そう年に数回は思ってしまう。東京の大学に行けば良かったなと、素直に。
でも北大に来たからしろちゃんの皆と出会えたんだよ、とか、そうやって自分の選択を肯定するのが確かに僕の生き方だけど、それにしては割り切れない。

「劇団夕結び」を立ち上げたのはちょうど2年ほど前。当時から僕はとにかく創作に飢えてる人間だったから、創作の機会があれば何でも良かった。
でも結局、しろちゃんを頼り、しろちゃんに迷惑をかける存在でしかなかった。旗揚げという単語がやたら悪い意味でそこらを巡るようになり、不毛な対立と文句をつくってしまった。

この辺りから僕の創作は、他人からの評価と他人との比較に囲われてしまった。それまでは、ただ創作をしたいという純粋な気持ちだったのに。

周りに面白いと思われる作品を目指す中で無意識に、周りの面白くない作品に厳しくなった。許容できなくなってきた、とでも言うか。
その理由は、お金を取って、人を沢山巻き込んで、迷惑も負担も時間もかけてかけさせて創作をする、その責任と段々向き合えてきたからだと思う。そう簡単に安直に演劇をしたくない、と考えるようになった。

だから、安直に作られた芝居は好きじゃない。

札幌にも面白い作品はあるし、面白い脚本家もいるけど、その「面白い」の一般的ハードルが低すぎる事が、癪だ。そのくせ面白そうにもない大人たちは、どこか上から僕たちの作品を観てる気がしてならない。

「へぇー、やるじゃん」
やるよそりゃ。なんだそれ。やるじゃん、って何だよ。何をやってると思って言ったんだそれ。じゃん、って何だよ。褒める時の語尾じゃねーだろ。

「面白かったと思うよ」
思うな。何ちょっとそう思った自分を俯瞰的に見てんだ。観劇中から面白いと思えるかなぁみたいな斜めの視点から観てるんじゃねーよ。思うよ、って何だよ。思うな。

「お笑い好きなんだなって思ったよ」
好きとかその次元じゃねーわ。好きという感情だけでやってるから俄かで中途半端な作品になってるんじゃねーのかお前たちは最近のお笑いも観てないんだろうしさ。てか何その感想。褒めてすらないじゃん。ホームラン打った選手に「野球好きなんだなって思ったよ」って言ってんのと同じじゃん。何言ってんだ。思ったよ、って何だよ。思うな。

新人賞を取りたかった1番の理由は、劇団しろちゃんを、才能溢れる同世代たちを、札幌の演劇陣に知らしめたかったから。夕結びの人たちにはそんなハッキリ言ってないけど、正直僕の中ではこれだった。
しろちゃんを観たこと無いくせに、札幌の若手は〜とか知ってる口で言う輩がちょこちょこいる。80人?凄いよねぇ、じゃないんだわ。1人1人が凄くて、それが80人以上いて、もう才能とセンスと熱量と発想と尖りと温もりがパンクにパンクを重ねて、その制御があまりにも効いてないのがしろちゃんだから。君ら10人よりしろちゃんから適当に選んだ10人の方が、おもろい芝居が作れるんだわ。

そこらの2000円の芝居より、無料で見たショートの通しの方が面白かった、時があった。今年度の話。
2割くらいは身内だし後輩だしという温かい目で見てる部分あるけど。でも、そこら辺の既に世にあることをやってるヌルい芝居より、どう転ぶか全く分からない正解も不正解も分からないでもとにかく本気な芝居の方が、僕は好きなんだと思う。創作だけやれたら満足な僕がしろちゃんに居続ける理由は、そこなのかもしれない。

4年前の僕へ。
脚本家になるためには色々な経験を積むべきだと思い、色々な人間がいそうな北大を選んだ僕へ。

見てられないですよね。こんな視野の狭い言葉たちをツラツラと並べる4年後の僕を。
札幌で演劇とかやってる暇あったら、東京行って、もっと脚本の書き方とか学びながらひたすらアウトプットして、厳しいけど認めてくれる大人に囲まれながら成長する方がいい、って。きっと僕のやりたい事にはそれが近道なんじゃないか、って。演劇なんかに出会ったから、他人の事を他人に知らしめたいために他人を巻き込んだ創作をする人間になってしまった。

バカが!!!!

こんなにも幸せなことは無いだろ!恵まれすぎてんだろ流石に!!!
1人でベッドで振り返るから、長々と冷たい言葉が並ぶんだわ。東京にだってくだらない価値ない大人はいるわ。東京の方が多いわ。何も知らないくせに。

もう、いいからさっさとサ館に行け。
存分に他人を巻き込んで、他人に巻き込まれて、他人を苦しめて、他人に苦しめられて、それ以上でもそれ以下でもないから、我武者羅に楽しんどけ。

演劇に出会ったから、しろちゃんに出会えた。
その程度のことだろう。

4年目_助演出 ヨルシカ

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