お前、もっと人を殺す気でやれよ。

って、高校の時に言われたことを今でも時々思い出します。こんにちは。ひさかたの獅子です。

相手は大学生だったんです。小川さん。高校の部活の交流試合かなんかで行った先の。

その人はその会場の中で一番不機嫌で不愛想でマナー悪くて、それでいて一番実力がある人でした。タチ悪いなあ。むかつくなあ。こういう人は好きじゃないです。

きっと、おどおどしてわたわたしてふわふわしてる私を見て、もっとシャンとしろよ的な意味で言ったんでしょうね。でもその時の私は今よりもずいぶんと真面目でしたから、そのまんま言葉の通り受け取ってしまって。あ。法は犯していませんよ？それからはかなり部活にのめり込んで、まあまあ良いところまでは行けて。

でも結局高校で部活を引退すると同時に辞めてしまったので、きっと小川さんとも一生関わることなんてないんだろうなって。もう殺気立つくらい真剣に何かやることもないんだろうなって。きっと、のんびり穏やかな大学生活が待っている。ほら、牛もいるし。そう、思っていました。思っていたんですけど。

気づけば今日もサカンにいます。誰かが稽古場で叫んでいます。あ。また一人作業場でも狂い始めました。素敵。牛の代わりにどんどん馬が出来上がってきています。

やらなくても死なないのに。と、ぼんやり思うこともたまにあります。それでも頑張りたいって思うのは、やらなくても死なないことに死にそうになりながら喰らいつく人たちがすぐそばにいるからだと思ってます。仕事のやり方も違うし、良いと思うことも大事にしたいこともちょっとずつ違う。理解できないことばかり。ちゃんと揉めるし喧嘩もするし、全然仲良しじゃない。でも、こっちのほうが居心地がいいんです。もしかしたら、小川さんもそうだったのかしら。

もしも観に来てくれたなら、なんて言うんだろうな。

元気にしてるかな。してないといいな。

今度こそ、全力で刺せるように。

名もないスタッフヒラだけど、

「いいじゃん」って言わせたい。

２年目　照明　ひさかたの獅子