少しは隠せ
髪が伸びた。切りたくなった。
そうだ、床屋行こう。
どんな髪型になりたいか、画像を探した。いい画像があった。
準備は万端。外は晴天。授業も全部おわった。髪を切る前から既に心地良い。
軽快なリズムで床屋へと向かう。着いた。昔からあるのだろう。自然に溶け込んでるかのような佇まいの店だった。中に入る。
そこには、1人のおばあちゃん。店の中は漫画、小さなテレビ、昔を感じながらも大谷翔平のファイル。ちゃんと今も取り込んでいる。
笑顔でおばあちゃんが言った。どんな髪型がいい?画像を差し出した。じっくりとスマホの画面を見つめる。そしてひと言、よし。
これがおばあちゃんか、そう思わせるほどのよしであった。画像を見せただけなのに。感銘を受けながらも僕は座った。
シャキシャキ、チョキチョキ、床屋でしか聞けないハサミの音だ。止まることはなく、髪がどんどん切られていく。
あまりにも心地がいい。ああ、もうシャンプーだ。終わってしまうのか。この心地いい時間が。
首のタオルがほどかれた。おばあちゃんは画像を見ていた。最終確認だろう。前、横、後ろを確認してひと言。
「失敗だ。」
3年目_役者 ピタヲ

