繰り返される夜るの中

ふつうではない日々が続いて、ただ楽しむ。

くだらないことを考える毎日。

今日も変わりない。

今日は、夜である。

今日も変わらない。

 

例えば、

 

REのつくもの。

 

REGISTER。繰り返されるジスターの中で、それは形而上的な存在となる。記録の象徴であるレジスターの集積は、記憶を生み出す魔性そのものになり、いつしか人々の行為、営みは、吐き出されるレシートに従うようになっていく。

 

短のつくもの。

 

短景麺。短景とは日が短いことであり、日が短い冬によく食べられる麺類、すなわち、うどんのこと。異論は認めないし、そんなもの出るわけがない。冬にうどん以外なにを食べるというのか。名前も素晴らしい。うどんのうどん感たるや。発音変化の過程に「うんどん」があったらしいが、そんなもの誰も食べはしない。うどんを出せ。

 

REのつくもの。

 

REAPER。死神。収穫者。死と生を含有している。なんて贅沢なコトバ。命と稲を刈り取る形している…。

 

短のつくもの。

 

短歌。ひょんでひぇんなことから先輩と一緒に短歌をつくることになり、短くあることの魅力を知ることになる。いかに質量を詰め込むかが難しくてたまらない。また、作ろうかな。

 

REのつくもの。

 

REMIND。ただの嫌がらせ。人は誰しも思い出したくないことがある。

 

短のつくもの。

 

短冊。書によってその書き方は様々だが、いま、願い事をする中で、気にするべきではない。理性を排して、欲望を筆に任せる、ひととき俳人となるのだ。

 

REのつくもの。

 

RECORDER。限られた音階を組み合わせることで、記録器として用いられる。リコーダーともレコーダーとも呼ばれるそれは、初等教育で導入されながら、プロフェッショナルともなれば、高度な技術が要求される。

 

短のつくもの。

 

短冊豆腐。豆腐生産量日本一の群馬県(2017)は、木綿派閥が幅を利かせているおかげで、豆腐生産量の約9割を木綿としたが、全国的に木綿と絹の消費が拮抗していたため、木綿インフレが起きた。湯葉同然となった木綿豆腐たちの再利用方法のひとつに、短冊豆腐がある。願いが叶わなければ、食べて願わなかったことにすればいい、という無駄のなさが反響を呼び、県内のみで大流行した。いま短冊豆腐と呼ばれているものは、このにごりである。また、その他の再利用方法に、激落ちくん、珪藻土、跳び箱の上の白い部分などがある。

 

REのつくもの。

 

REAMP。バンド、ヒトリエが新たに3人体制で始動して、初めてリリースされたアルバム。僕の核にいる彼がいなくなっても、みんなは忘れていなかった。何年経っても何度もトレンド入りするその名前が、僕の中で濃くなっていく。初めて買ったバンドのアルバムはヒトリエのWONDER and WONDER。REAMP。リアンプ。彼らがどのつまみを捻ったのかは知らないが、どこまでも広がり膨らんでいく。うるさくて、あたたかい。

 

短のつくもの。

 

短評。たんぴょう。かわいいね。

 

REのつくもの。

 

REMEMBER。ヒトはすべて記憶している、というハナシがあります。忘れる、というのは、思い出せないだけだというのです。こんなことがあっていいのでしょうか。僕にとってこれほど幸せな仮定はありません。僕の書いた雑文が、僕の描いた妄想が、僕と彼女の為す嬉戯が、文字通り忘れられないものとなるというのです。僕はもうたくさんです。そう思えるだけで、僕はたいそうに満たされました。

 

それではあんまりなので、僕が祈り願うのは、僕の他愛ないあれそれで、あなたが少し満たされて、少し思い出してしまうような、僕の欲望のすべてです。

 

加えて、あんまりでした。

 

僕のすべてはこれらの言葉に詰まっています。そして、起承転結は文章に向かない。これに私は同意します。私が書く私のすべては、すべてキショウに詰まっているから。

 

起床。

 

ふたたび寝られるように。

 

気象。

 

つぶさに吐き出すように。

 

嬉笑。

 

喜び笑えるように。

 

毀傷。

 

傷つけ知るように。

 

奇勝。

 

感慨無量の景。

 

帰性。

 

迷いはなく帰り。

 

祈掌。

 

あなたを祈るため。

 

祈掌。

 

あなたを願うため。

 

あなたをひとり愛するために。

 

祈り、願う、手のカタチ。

 

僕の、好きな手のカタチ。

 

ぼくとぼくに夜るハナシ。

 

 

5年目　ヴィトン

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劇団しろちゃん2021夏の短編演劇祭
『REBOOT』